後遺障害12級の慰謝料を獲得する方法
千葉で交通事故の無料相談ができる弁護士をお探しの方へ。このページでは、「後遺障害12級の慰謝料を獲得する方法」について解説しています。
交通事故によって後遺障害を負った場合、その障害とこれからずっと付き合っていくこと、障害により仕事や趣味などを以前と同じように楽しめないことなどを考えると不安や悲しみが残るかと思います。
このページでは、そういった不安のもととなる後遺障害12級に対する慰謝料の獲得方法や獲得することができる慰謝料の金額などが書かれています。
これからの参考にしたい方や家族が交通事故に遭って困っている方はご参照ください。
12級と慰謝料の金額との関係
後遺障害等級と慰謝料の金額との関係
後遺障害慰謝料は、交通事故により負うこととなった後遺障害の等級によってその金額が変わってきます。
後遺障害等級の数字は低ければ低いほど、その症状が重くなっていますので、後遺障害慰謝料もより高額になります。
では、どれくらいの金額になるのかというと、後遺障害慰謝料には相場があり、その相場は通称「赤い本」に記載されている金額となっています。
そのため、後遺障害慰謝料はその「赤い本」に記載されている等級ごとの金額を相場として、それぞれの交通事故に見合った金額を裁判所が最終的に決定することになります。
12級の後遺障害慰謝料の相場
「赤い本」とは、裁判所が示す交通事故における損害賠償額の基準が書かれた本のことを言います。
その本の中には慰謝料以外にも、休業損害や逸失利益、過失割合についても書かれているため、交通事故の裁判では「赤い本」に記載されている内容が一定の基準となります。
そのため、後遺障害慰謝料についてはその「赤い本」に記載されている等級ごとの金額が相場となっており、後遺障害12級の慰謝料の相場は、290万円となっています。
ただしこの相場とは、あくまでも弁護士に依頼し示談や裁判などで請求することができる金額の相場となります。
例えば、交通事故の被害者個人と加害者側の保険会社が示談する場合、その保険会社は自社固有の基準(任意保険基準)によって後遺障害慰謝料を算定して、被害者に提示することになります。
「赤い本」における相場(弁護士基準)は、任意保険基準における後遺障害慰謝料の相場よりも高額となっており、後遺障害12級ではその差額は約190万円となっています。
しかし、弁護士に依頼するということはどうしても弁護士費用がかかってしまい、また、保険会社によっては請求金額に納得がいかず、裁判が起こって支払われるまでに時間がかかってしまうことがあります。
そのため弁護士に依頼する場合には、依頼によって得られる利益と弁護士費用や時間などの不利益を考慮することが重要であり、どうしても気になる場合には無料相談できる弁護士に一度相談することをおすすめします。
12級の入通院慰謝料の計算方法
前述にもあるように、「赤い本」は後遺障害慰謝料だけでなく休業損害や逸失利益などの損害賠償全般の基準が書かれている本であるため、交通事故による入通院慰謝料も、その「赤い本」に記載された金額が相場となります。
「赤い本」に記載されている入通院慰謝料は入院の月数と通院の月数によって金額が変わります。
例えば、通院が全くなく入院のみしていた場合の入通院慰謝料は、入院1月は53万円、2月は101万円、3月は145万円、4月は184万円となっています。
また、入院1月した後に通院している場合の入通院慰謝料は、1月の通院であれば77万円、2月は98万円3月は115万円、4月は130万円となっています。
(まとめ表)
弁護士基準 |
任意保険基準 |
|
---|---|---|
11級 |
420万円 |
150万円 |
12級 |
290万円 |
100万円 |
13級 |
180万円 |
60万円 |
14級 |
110万円 |
40万円 |
12級に認定される後遺障害とは?
12級の後遺障害は、障害の症状が画像判断や神経学的検査によって医学的に証明されないと、認定されるのは非常に難しくなります。
そのためレントゲンやMRI画像は非常に重要であり、また主治医に適切な後遺障害診断書を書いてもらうことも大切です。
(まとめ表)
後遺障害12級 |
|
---|---|
1号 |
1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの |
2号 |
1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの |
3号 |
7歯以上に歯科補てつを加えたもの |
4号 |
1耳の耳殻の大部分を欠損したもの |
5号 |
鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨、または骨盤骨に著しい変形を残すもの |
6号 |
1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの |
7号 |
1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの |
8号 |
長管骨に変形を残すもの |
9号 |
1手の、小指を失ったもの |
10号 |
1手の人差し指、中指、または薬指の用を廃したもの |
11号 |
1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの、または第3の足指以下の3の足指を失ったもの |
12号 |
1足の第1の足指、または他の4の足指の用を廃したもの |
13号 |
局部に頑固な神経症状を残すもの |
14号 |
外貌に醜状を残すもの |
12級の慰謝料を増額するポイント
例えば、交通事故の加害者が飲酒運転している場合には相場よりも高い慰謝料をもらえる可能性が高いです。
裁判例からみる12級の慰謝料の傾向
以下の表から見てもわかるように、後遺障害12級の慰謝料はそのほとんどが290万円前後となっており、相場どおりになっています。
200万円とあるものについては、交通事故により歯が7本以上失ってしまった被害者が、その交通事故以前から10本前後失っていたので、通常の状態から7本失うことよりも精神的苦痛は軽いと判断され、相場よりも低い金額の決定が下されました。
判例年月日 |
後遺障害の内容 |
後遺障害の等級 |
後遺障害慰謝料 |
---|---|---|---|
東京地裁H20.01.15 |
7歯以上に歯科補てつを加えたもの |
12級 |
200万円 |
大阪地裁H27.03.30 |
鎖骨に著しい奇形を残すもの |
12級 |
280万円 |
大阪地裁H27.12.22 |
1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの |
12級 |
280万円 |
東京地裁H26.07.16 |
1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの |
12級 |
290万円 |
東京地裁H26.08.27 |
難聴を伴い著しい耳鳴りを常時残すもの・局部に神経症状を残すもの |
併合12級 |
290万円 |
名古屋地裁H26.01.16 |
1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの・局部に神経症状を残すもの |
併合12級 |
290万円 |
相場よりも高額な慰謝料が認められる場合とは
相場よりも高額な慰謝料が認められるためには4つの重要なポイントがあります。
1.12級では評価されない症状がある場合
12級認定された後遺障害とは別に、12級と評価されない程度の障害や外傷などがある場合には、相場よりも高額な慰謝料を得られる可能性があります。
例えば、1手の中指の用を廃したことにより12級認定されたが、さらに小指の用も廃している場合には、中指のみが用を廃しているときよりも日常生活に悪影響を与える可能性が非常に高く、その分だけ精神的苦痛が大きくなることが考えられるため、慰謝料が相場より高くなることがあります。
2.12級で考えられる不利益を超えている場合
12級の後遺障害によって被る日常生活内の不利益が、通常に考えられる範囲を超えている場合にも慰謝料が相場より増額するときがあります。
例えば、胸骨に著しい変形を残すものにより12級の認定をされた場合に、少し深く呼吸したり運動後呼吸が少し乱れたりするだけで胸部分に鋭い痛みを感じるときには、その程度が通常予想されるよりひどいと認められると慰謝料が増額する可能性があります。
3.逸失利益が減額され・認容されなかった場合
外貌に醜状を残すものによる後遺障害12級の場合、その障害が直接仕事に影響がないと判断されたときは逸失利益が認められない又は減額されるケースがあります。
その場合には、認められなかった・減額された逸失利益の代わりに後遺障害慰謝料を増額させ、全体の損害額を調整することが多いです。
そのため、12級認定がされた場合には逸失利益等が認められなかったときも備えて慰謝料を増額請求しておくことが重要となります。
4.加害者に故意・重過失・不誠実な態度がある場合
例えば加害者が飲酒運転していた、事故後逃走した、明らかな交通違反をしたなどがある場合には、12級の後遺障害慰謝料の相場よりも高額な慰謝料を得られる可能性があります。
交通事故にこのような場合がふくまれているときは、慰謝料相場より20%程度増額したうえで請求することが重要となります。
(まとめ表)
後遺障害慰謝料相場よりも増額するポイント |
|
---|---|
12級では評価されない症状 |
12級認定された後遺障害以外の障害等があること |
通常予定以上の不利益がある |
後遺障害12級で予想される不利益以上のものを被っていること |
逸失利益が減額・認容されない |
逸失利益が通常の後遺障害12級よりも減額されている、または認められないこと |
加害者の故意・重過失・不誠実な態度 |
加害者に飲酒運転・事故後逃走・明らかな交通違反などの事実があること |