PTSDで後遺障害等級7級認められず12級認定
認容額 | 894万9310円 |
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性別 | 女性 |
職業 | 看護助手 |
傷病名 | PTSD,頸椎捻挫 |
後遺障害等級 | 12級 |
判決日 | 平成17年11月30日 |
裁判所 | 東京地方裁判所 |
交通事故の概要
加害者が,被害者自宅前である千葉県船橋市古和釜町511-5(以下「本件現場」という。)に加害者車両を停車し,意識を失った様子で身体が車両からずり落ちそうになっていたため,被害者が,加害者車両のドアを開扉して身を入れて加害者を車外に出そうとしたが, 加害者の身体が大きく無理だったので,加害者を抱えるように車内に入れようとしたところ,加害者車両のエンジンがかかったままであったため,加害者の足がアクセルを踏む格好になって加害者車両が発進し,対向車と衝突した。その間,被害者は,加害者車両で約20メートルほど引きずられ,対向車との間に挟まれるような形になって負傷した。
被害者の入通院治療の経過
①本件事故当日である平成14年10月9日S病院を受診。同年11月12日までに10日間通院した。
②同年11月12日,K病院を受診。翌13日の2日間通院して保存的治療を受けた。
③同月8日,F整形外科を受診。平成15年5月12日まで通院した。
④平成14年11月13日から平成15年7月24日までの間で合計11日間,
前記S病院に通院して保存的治療を受けた。
⑤平成15年4月3日,不眠を訴えてO病院を受診したところ,
心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され,同年10月1日まで通院した。
⑥その間の同年6月1日から同年7月4日までの34日間,前記O病院に入院し,
心因反応ないしPTSDに対し加療を受けた。
⑦平成15年7月25日から同月30日までの6日間,前記S病院に入院し,
同年8月1日,同月2日の2日間,同病院を外来受診し,
同月4日から翌5日までの2日間,再度同病院に入院した。
⑧その後,同月11日から同年9月20日までの7日間,同病院に通院した。
後遺障害の内容
本件事故によりPTSDに罹患したことは明らかであり,後遺障害等級では,12級相当に該当する。PTSD以外の後遺障害等について被害者の頸椎捻挫後の頸部痛,両上肢痛しびれ,頭痛等の訴えについては、「局部に神経症状を残すもの」として自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)別表第二第14級10号に,腰椎捻挫後の腰痛,両下肢痛等の訴えについては,「局部に神経症状を残すもの」として同法別表第二第14級10号にそれぞれ該当する。したがって,PTSDの点(12級相当)と総合すると,被害者の後遺障害等級は併合12級に相当するというべきである。
判決の概要
本件事故によりPTSDに罹患したことは明らかであるが,現在の被害者の日常生活能力・程度,他人との意思伝達,対人関係ないし協調性,身辺の安全保持,危機回避,困難への対応能力等の状況については,夫の供述により判断するほかはなく,鑑定の実施も困難な状況にあるので,これを上回る後遺障害であることを裏付ける資料の提出がなく、原告の主張する後遺障害等級7級であることを認めるに足りる証拠はないといわざるを得ないとし,後遺障害等級12級とした。
認容された損害額の内訳
治療関係費 | 209万8821円 |
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入院雑費 | 6万3000円 |
通院交通費 | 5万1540円 |
休業損害 | 271万0253円 |
逸失利益 | 361万1777円 |
慰謝料 | 469万円 |
その他 | 36万5726円 |
既払い額 | -545万1807円 |
弁護士費用 | 81万円 |
※その他、既払い額や損益相殺がなされ、判決認容額となります。