信号待ちの乗用車に後続車が追突した事例
認容額 | 257万6584円 |
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年齢 | 32歳 |
性別 | 女性 |
職業 | 会社員 |
傷病名 | 頭部・背腰臀部打撲症,頚部捻挫 |
後遺障害等級 | 14級 |
判決日 | 平成21年7月24日 |
裁判所 | 東京地方裁判所 |
交通事故の概要
本件は、平成10年11月24日午後5時33分ころ千葉県長生郡長生村七井土1862付近道路にて、停車中の被害者の運転する普通乗用自動車に対し、加害者の運転する普通乗用自動車が後ろから追突した事故である。
被害者の入通院治療の経過
① 医療法人社団正朋会宍倉病院
本件事故当日、茂原市にある医療法人社団正朋会宍倉病院に救急搬送され、頭部・背腰臀部打撲症,頚部捻挫と診断された。
②公立長生病院
本件事故翌日の平成10年11月25日、茂原市にある公立長生病院を受診し、頭部打撲,胸部・腰部打撲と診断された。
その後、頸椎・腰椎捻挫,頭部・右肩打撲等と診断され,疼痛が強いとして、平成10年11月27日から12月1日までの4日間入院した。
③茂原機能クリニック
平成10年12月1日に茂原市にある茂原機能クリニックを受診し、頸椎捻挫,腰部椎間板ヘルニア,中心性脊髄損傷,三叉神経痛と診断され、同日から平成11年3月10日までの100日間入院し、
頚部痛,頭痛,腰痛,両上肢筋力低下,両下肢筋力低下等があるとして、翌11日から平成13年8月11日まで通院した。
④医療法人鉄蕉会亀田クリニック
平成12年2月17日から、鴨川市にある医療法人鉄蕉会亀田クリニックを外来で受診し、抑うつ神経症と診断され、平成13年12月31日までの計36日間通院した。
⑤駿河台日本大学病院
平成12年6月6日以降、千代田区神田にある駿河台日本大学病院へ通院、外傷性頚部症候群と診断され、同月27日までの計3日間通院した。
また、同病院麻酔科において外傷性頚部症候群に加え、うつ状態,難治性慢性疼痛と診断された。
(総入院日数132日、総通院実日数465日)
後遺障害の内容
被害者は平成15年9月17日に自賠責保険会社から「医学的に説明可能な痛みやしびれなどが持続している」ことを理由に、後遺障害等級第14級10号の認定を受けた。
駿河台日大病院麻酔科のA医師は、平成15年2月18日付け自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書において、被害者の傷病名を「外傷性頚部症候群」とし、症状固定日は平成15年2月18日、自覚症状は右上肢,頚部,左上肢の疼痛,左右上肢のしびれ感,発作的な疼痛が依然として持続」とし、
また経過中にギラン・バレー症候群を発症し、両下肢不全麻痺(右は完全麻痺状態)で車イスの生活となったことを指摘し、
他覚症状等については当科での治療中にギラン・バレー症候群を発症したため右下肢の筋力はその後遺症のため大腿四頭筋,腸腰筋,大腿内転筋群,中小殿筋群はすべて0である との診断をしたが、これに関しては事故との因果関係が認められず、後遺障害認定が下りなかった。
判決の概要
裁判所は、信号待ちをしていた被害車両に加害車両が追突したというもので、加害者の過失は言うまでもないが、
被害者の後遺障害は「局部に神経症状を残すもの」(後遺障害等級第14級)にのみ該当し、その他の後遺症に関しては被害者の心因的な要素が影響を与えている為認められないとし、被害者の請求を一部のみ認容、
被害者に対し257万6584円及びこれに対する平成10年11月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払う限度で理由があることとし、加害者に支払を命じた。
認容された損害額の内訳
治療関係費 | 785万7964円 |
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通院交通費 | 99万8140円 |
休業損害 | 292万5855円 |
逸失利益 | 133万3344円 |
慰謝料 | 340万円 |
既払い金 | -240万6760円 |
弁護士費用 | 25万円 |
※その他、既払い額や損益相殺がなされ、判決認容額となります。